日台ビジネス

食品小売と消費習慣の実務観察〜

台湾の販売構造は日本と大きく異なります。
人口約2,300万人という比較的小さな市場ながら、百貨店・量販店・コンビニの密集度はアジア有数であり、生活導線に密着した高頻度・高接触の小売環境が形成されています。特にコンビニエンスストアは、食品販売だけでなく、公共料金の支払いや荷物の受け取り機能も担っており、生活のインフラとも言える存在です。

さらに、Facebookの団体購入グループやShopee、Instagramの個人ショップ、ライブ配信による販売など、いわゆる「非公式チャネル」が数多く存在します。これらは特に商品導入の初期段階で有効な販路となり、コストを抑えつつ迅速に話題化・販売につなげることができます。

特に注目すべきは、20〜35歳の若年層の購買行動です。
この世代はすでに「スマートフォンによる購買」および「SNSを起点とした情報取得」が日常化しており、Instagram、Dcard、小紅書、YouTubeなどにおけるKOLのレビューやユーザーの口コミが購買意思決定に強く影響を与えています。
一方で、メーカー公式サイトや紙媒体広告など、従来型の一方向メディアへの依存度は明らかに低下しています。
そのため、台湾の広告・マーケティング手法は日本と大きく異なります。
日本では紙媒体、店舗POP、ブランドの歴史や安心感が重視されますが、台湾では以下のような「双方向・即時型」のアプローチが有効です:

– 限定ストーリー機能やコメント対応で親近感を演出
– インフルエンサーや一般ユーザーによる開封動画・体験レビューが購買に直結
– ブランドのアカウントが即座に返信し、積極的に会話に加わることが「信頼」の構築に直結

また、若者は商品デザインやブランドコンセプトに「共感できるか」を重視しており、たった一つのSNS投稿が購入の動機になることもあります。

このように台湾は、デジタル化の進んだ、スピーディーかつ柔軟な消費市場であり、日本とは全く異なる“ユーザーとの距離感”が特徴です。
台湾市場を攻略するには、従来の情報発信型マーケティングではなく、「共感と参加を誘発するコミュニケーション型」マーケティングへと転換する必要があります。

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